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Jun 14,2016

Title × 『sketch』

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これからの本屋さんのあり方としての新しい空気が感じられる、
同時に、誰にとっても懐かしい「街の本屋さん」のイメージを具現化した書店として
いま注目を集めている荻窪の〈Title〉

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2016年1月にオープンしたお店ですが、
すでにしっかり地に足の着いた佇まいが店構えと店内から伝わってきます。
図面が残っていないほど築年数の経った店舗兼住居の一軒家を改装したそうで、
リノベーション工事で天井をはがしたら出てきたという古い梁や古木の柱などが
ゆっくりと本に向き合える落ち着いた環境を差し出してくれます。

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〈Title〉店長の辻山良雄さん。
長年リブロに勤務し、各地の支店で店長を歴任された後に
昨年閉店したリブロ池袋本店ではマネージャーを務めた方。
その後退社し、自分が今本当にやりたい店として〈Title〉をつくったそうです。
辻山さんがどんなことを大切に、どんな点に苦労しながら開店までこぎつけたかという話が
ブログにまとめてあり、とても興味深く読ませていただきました。→ 「開店前メイキングブログ」

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『sketch』は、〈Title〉店内に入って左側の棚の、暮らしの本や雑誌のコーナーに。
並べていただいて数日後にお店に寄らせていただくと
「さっそく『1』も『2』も動きがありましたよ」とのうれしい報告が!
『sketch 2』のみ買う方もいらしたとのこと。
それぞれ内容は独立しているため、もちろんそれもアリです!

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二階のギャラリーへと向かう階段の下には、リトルプレスやZineのコーナーが。
大型店舗ではない新刊書店で、こうしたコーナーをきちんと設けているところにも
本の世界全体を活気づけていこうとするお店の姿勢があらわれています。

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二階のギャラリーでは現在、写真家の一之瀬ちひろさんの展示が開催中(6月27日まで)。

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展示タイトルは「日常と憲法 -PARIS2015/11/13-TOKYO2016-」
昨年パリで同時多発テロが起こった瞬間、ちょうどパリの街にいた一之瀬さんが
一瞬にして奪われるかもしれない平和な日常と、それを支えるはずの憲法のつながりを考え
複雑に渦巻く思いを、写真とインスタレーションとZineによって表現しています。
「憲法の条文と日常風景を重ねてみる」というコンセプトが新鮮で
大事なことを見つめ直すきっかけを与えてくれる展示でした。

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そして一階の一番奥には、8席のカフェコーナーがあります。
本を買い、展示を見て、最後にここでコーヒーを飲みながら買ったばかりの本をめくる。
店を訪れた人の行動や心理の流れと、各コーナーの配置が見事に一致していて
本を中心にした有意義な時間をしっかり味わいつくせるようになっています。

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ブレンドコーヒーを浅煎りと深煎りから選べるのも心憎い!
ワインなどのアルコールや軽食もあります。→ CAFE MENU
私は深煎りのブレンドコーヒーと、しっかり濃厚なチーズケーキをお供に
一之瀬さんのZineをめくりながらしばし休憩させてもらいました。

本づくりも、書店のあり方も、これからのかたちを考えていくことは
本来そうあったはずの、そしてそれがきっと自然で心地いいのだというかたちを
情熱と冷静さの両方をもって探っていくことだと思います。
これからもずっと本に関わっていきたいと願う身として
刺激と希望をもらえる新しい書店さんの登場を、とても心強く感じています。

→ 〈本屋 Title〉


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Author : Nao Ogawa