日が長くなり、寒くもなく暑くもなく、
蚊にも悩まされない時期というのは実に短いのです。
梅雨の始まりとともに終わってしまうので
この季節は、食事のたびに晴れてさえいれば
誰からともなく「庭で食べようか」という流れになります。
ランタンを灯せば、たとえ残り物をかき集めたようなメニューでも
毎回ちゃんと贅沢な気分になれるのが不思議です。
外で食べる美味しさに「慣れる」ことは、きっとないのでしょう。
すっかり日が暮れた庭から
オレンジ色に灯る部屋をぼんやりと眺めるのも好きです。
そこに人のシルエットが加わった瞬間、
部屋の温度が「ポッ」と軽い音をたてて
ほんの何度か上がったように見えるときがあります。