『THE GIFT TO BE SIMPLE "シンプルという贈りもの"』という写真集は
私の世代で、かつてオリーブを愛読していた人にとってはきっとバイブルのような一冊。
アメリカのペンシルヴァニア州などで、今も車や電気といった現代文明を排除しながら
18世紀頃の移民当時の暮しを守り続ける〈アーミッシュ〉の人々の
簡素で美しい暮しを四季を通じて記録した本です。
私は仕事部屋の本棚の、いつも手に取りやすい場所にこの本を置いていて、
つい最近もふと手に取って、しばしこの世界に思いを馳せていたところでした。
この写真集を見ると、必ずセットで観たくなるのが、映画『刑事ジョン・ブック 目撃者』。
街で偶然殺人事件を目撃してしまったアーミッシュの少年と、
その母親である未亡人(ケリー・マクギリス=『トップガン』の美人教官!)を
守ろうとする刑事(ハリソン・フォード)が、アーミッシュの村に身を隠すくだりでは
厳格な規律に貫かれた彼らの生活がとても丁寧に映し出されているからです。
食べ物も家も家具もすべて自分たちの手で作るアーミッシュの生活。
彼らの服装や生活すべてに漂う独特の緊張感が物語のサスペンスムードをさらに盛り上げ、
映画としても秀作だと思っています。
中でも大好きなのが、この納屋を建てるシーン。
新婚夫婦のために村中の男たちが集まって大工仕事をするのです。
その間、女たちはキルトを刺したり、昼食の準備をしたり。
女性はワンピースとエプロン、男性はシャツに黒いパンツにサスペンダー。
それが大勢集まったときの詩的な風景は圧巻です。
サスペンスなので撃ち合いなど残忍なシーンもありますが、それを差し引いても好きな一本。
監督は『ピクニック at ハンギングロック』や『いまを生きる』のピーター・ウィアー。
この監督の、映像表現の美しさや人間味のあるキャラクターの描き方に魅かれます。
昨夜は、夫が保育園の役員会の忘年会で、
それを送り出した直後に娘がコテッと寝てしまったので
この映画のDVDを見ながら、娘の新しいジャンパースカートを縫いました。
突然ごほうびをもらったような、幸せな2時間でした。