2020年5月20日より新しいサイト www.tabletalk.store へ移転しました。こちらからご覧ください!
Dec 29,2014

ゲームについて

141229nao001.jpg

『sketch 1』収録の、モノのイラストを通して夫が自らの幼少時代を振り返るコーナー
「いまもすきなモノたち」の中にもありましたが、
一人っ子の彼はこどもの頃、「兄妹がいないぶん友だちと遊べるように」と
ボードゲームなど複数のメンバーで遊ぶおもちゃをよく買ってもらい、反対に、
一人で遊ぶようなテレビゲーム類は買ってもらえなかったそうです。
そこに込められていた親の思いに今とても感謝している、とよく語っていて
だからこそ、クリスマスや誕生日には
娘と一緒に楽しめるボードゲームや本を贈り続けているように見えます。
私はその様子を見ながら、大家族で育った自分より彼の方がずっと社交的なのは
本当にその体験のおかげなのかもしれないな、と考えています。

141229nao002.jpg

私も夫も、こども時代にファミコンが台頭してきた世代ですが今ひとつ面白さがわからず、
ともにゲーム機とは無縁の人生を送ってきました。
娘はまだ自分からゲーム機が欲しいとは言ってきませんが、
もし今後、言ってくることがあったとしても買い与えるつもりはなく、
ただそのときは買わない理由をきちんと本人に伝えよう、と夫婦で話し合って決めています。

141229nao011.jpg

その理由とは第一に、そのモノの価値を私たち自身が理解できていないから。
自分が価値をわかっていないものをこどもに与え、使わせることによって
この先、人格のすべてではないにせよある部分が形成されていくとしたら
いずれ思春期など難しい年令になったときに
「こどものことがわからなくなったのはゲーム機のせいじゃないか」
と思ってしまうかもしれない。それを避けたいというのが一つ。

141229nao013.jpg

第二に、時期のことがあります。
ようやく人対人として意思の疎通が図れるようになり、キャラクターも形成されてきて
コミュニケーションが面白い。それでいて「パパとママが大好き」と言いながら
一緒に遊びたがってくれる時期なんて、きっと短い間のことでしょう。
そんな貴重な時期にゲーム機を与えてそちらを向かれてしまったら
いったい私は何のために日々家事や仕事に汗水流しているのか......と途方に暮れてしまいそう。

夫がそうだったように友だちの家でゲームをやることまで禁ずるつもりはないし、
親に価値がわかってもらえないならと自分でアルバイトをして買える年令になって
働いて手に入れる分にはいいと思います。
でもまだ働けない年令のこどもは、親に与えられた環境の中で育っていくしかないのだから
「私は何が面白いのかわからないけれどこどもが欲しがっているから」と
曖昧な気持ちでモノを買い与えることはしたくないのです。逆に、
大人がそのモノの価値を認めているならば買ってもいいのではと思っています。

141229nao015.jpg

保育園では、クリスマス当日は朝から、プレゼントに何をもらったかの報告で大賑わいで
DSやたまごっちなどのゲーム機をもらった子も多かったようです。
週末にまた保育園のお友だちとママたちが卒園用ミーティングでうちに集まることになったときも
一人のお母さんから「こどもに新しいゲーム機を持たせてもよいか」と確認を受けました。

141229nao016.jpg

私は一瞬迷いましたが、「うちではゲーム機を買い与えていないので、
申し訳ないけれど遠慮してもらっていいですか」と答えました。
こども自身はすでに持って行く気になっていたためゴネていましたが、結果的には
6歳のこどもが3、4人集まれば、鬼ごっこやだるまさんが転んだをしたり
シャボン玉やなわとびをしたりで、何時間も元気な声を上げながらにぎやかに遊んでいました。
寒いからと用意していたDVDなど、つける暇もありませんでした。

141229nao003.jpg

もちろんこれから小学生になればもっと複雑な状況にも直面するかもしれません。
でも、自らの体験をともなう判断にはそれなりに自信がもてるのです。
同じ一人でやる作業でも、本は、自分の中に広がったイメージや読後の余韻が
孤独を温かく癒してくれるものだという実感を私たち自身が体験として知っているので
たとえこどもが一人で本を読みふけっていても、その姿を安心して見守ることができます。
ゲーム機の場合、私たちにはそれができない。
そういう間は買わない方がいいんだろうなと思っています。

ところで、本題とは少し逸れますが
保育園のお母さんが、ゲーム機を持参してよいかと事前に確認してくれたことに
大人としてのスマートな配慮を感じました。
教育方針は家それぞれで違うもの。
「今って普通みんなそうだよね」ということでも、一応確認をとることは大事ですね。
この姿勢は自分も見習わなくては、と思いました。

  • Facebook
Author : Nao Ogawa