仕事がひと段落すると、いつも出かけたくなるのが建築探訪です。
ずっと前から行ってみたかった「旧安田楠雄邸庭園」を訪ねました。
大正8年(1919年)に建てられた安田邸、ほぼ100年前の建物が保存されています。
広い玄関を入ると唯一の洋間である応接室へ。奥には庭を見渡せるサンルームが。
奥の部屋へ続く味わいのある長い畳廊下。
床の間には素敵な照明がありました。擦りガラスと鉄の組み合わせに心躍ります。
茶の間の脇には、つくばい。木と石と竹と水の対比は、いつ見ても気持ちいいです。
ふすまを開けると、コンパクトな茶の間が!(ビックリです)
いちばん楽しみにしていたのは台所でした。
十分に採光できるよう天井はガラス張りで、ガスレンジや棚はそのまま残されていました。
キッチンは当時最新だったアイランド型。釜炊きのご飯や出汁の香りが漂ってきそう...。
丸みのある形と重厚な取手の付いた木製の冷蔵庫。氷を入れて冷やしたのでしょう。
味噌やぬか漬けを作るための床下収納もありました。
畳廊下は2階にもあり、暖かな光が差し込んでいます。
この日は重陽の節句。素敵な和服姿も堪能できました。
目の前には大きな桜の木があり、春にもう一度来てみたい。
電気のスイッチもかなりいい感じ。
実際に家の中を隅々までじっくり見て回れるのが、建物探訪の良い所です。
大切に住んできた人たちのことを想像すると、自分の家への愛情も自然に増してきます。
そして書店員や本好きな人の間で聖地と呼ばれる往来堂書店へ。
街の小さな新刊書店ですが、店主の愛情あふれる品揃えに客足は途絶えることがありません。
本を何冊も抱えてレジに並ぶお客さんを見て、いい店だなぁとしみじみ。
子どもの頃に通った本屋さんのワクワク感が、しっかりと残っていました。
気分がよいので、旧岩崎邸庭園まで足を伸ばします。
三菱財閥のお屋敷は、あまりのスケールの大きさに驚きましたが、
特に気に入ったのは、地下の通路でつながっていたビリヤード室。
広い庭園ではコンサートも行われるそう。
すべての感覚をフル回転させた一日は、この上なく有意義なものでした。
今回の建築探訪をきっかけに、我が家にも少しずつ手を加えていくつもりです。