Dec 11,2015

『おしゃれと人生。』感想

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まず驚いたことは、その豪華で多彩な人選でした。
誰もが生きている間に考え悩み続ける「おしゃれ」という壮大な楽しみをテーマに、
年令や職業、生い立ちや国籍を超えた10人の女性たちが語ります。

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これまで重ねてきた経験や年令と向き合いながら、
これから先も続く未来への期待やワクワク感をしっかりと見据える魅力的な女性たち。
僕は10人それぞれの生き方に大いに共感し、刺激を受けました。
本文には心を動かし、ハッと気づかされる言葉がいくつも登場します。

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料理研究家のウー・ウェンさん。「今日、家を出たら何が起こるか、誰にもわからない。だから『心のお守り』として手を抜かないと決めていること」。僕らも家族を見送る時は、どんなに忙しくても必ず顔を見て玄関で『いってらっしゃい』と声をかけるよう心がけています。

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『魔女の宅急便』で知られる児童文学作家の角野栄子さん。「人生も作品も、先々のことは考えずに『やってみたいな』と思ったらまず飛び込む」。これまで出版社、広告制作会社、料理人、ライター、イラストレーターとさまざまな仕事を経験した僕が、考えていたことと全く同じです。

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服飾デザイナーでカフェ店主の横尾光子さん。「閃いて決めたことが、振り返れば線でつながっている。人生はそんなことのくり返しだと思う」。人の直感や感覚というものは、どんな膨大なデータや優れたコンピューターよりも鋭いと、これまで開催したトークイベントで語ってきました。


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料理研究家の中島デコさん。「体と自然がいい流れで循環していると願いが叶いやすくなると思う」。降りてきた直感や閃きを身近に感じ取れるよう、毎日フラットな気持ちでいる。店や部屋をきれいにしておくと、お客さんや仲間が自然に集まってくるのと同じような感覚です。

ほかにもご紹介したい言葉が本当に数多くあるのですが、いい写真もまたたくさんあります。
昔の写真が掲載されているページが特に好きで、中でもお気に入りの一枚は...


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コスチューム・アーティスト、ひびのこづえさんです。芸大時代からのパートナーでアーティストの日比野克彦さんとの2ショット。照れくさそうな2人のなんとも言えない距離感とポーズは、見ているだけで幸せで甘酸っぱい気持ちにさせてくれます。進路や方向に迷いがあった29歳のひびのさんに、克彦さんが的確なアドバイスをしてくれたというエピソードに心震えました。

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この本はページごとに読み進めていくと、10人の上質なドキュメンタリー映画を見ているかのように、文章と写真が一体になって頭の中に入ってきます。「私のおしゃれを支えるもの」という短いエッセイも、まるで読み手のテンポを知っているのでは...、という絶妙なタイミングで挿入されます。また、本文には飾りやアイコン、イラストなどは一切なく、研ぎ澄まされた文章と写真のみで構成される潔さも、ストレートに読み手の心に響く理由のひとつだと思います。

僕のような男性が読んでも十二分に楽しめ、この本を読み終え、自立することの大切さを学びました。70代の母にプレゼントして、感想を存分に語り合いたいと思っています。読み手の世代や性別を軽々と超えてしまう、『おしゃれと人生。』はそんな本です。→ NEWS

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Author : Takahiro Koike