小学校で参加している絵本の読み聞かせ活動で、今月私が読んだのが『ありこのおつかい』。
石井桃子さんが1968年に発表した作品で、50年近く経った今読んでも
まったく古さを感じないことに、読みながらあらためて感動しました。
絵を手がける中川宗弥さんを夫が敬愛していることから、我が家の本棚にあったこの本。
読み聞かせに向く本としても有名であることを知り、読んでみようと思ったのですが
正直、家で読む練習をしているときは、子どもたちに反応がいいかどうか、心配でした。
なぜなら、絵はとことんシンプルで、派手さとは対極にある画風で...
主人公はありの子という、これまた小さな世界のお話で...
くわしいことは読んでのお楽しみですが、
色の輪っかがどんどん大きくふくらんでいくシュールさも
7歳のこどもにどこまで伝わるのかなぁと、半信半疑だったのです。
ところが!
読んでいるこちらがびっくりしてしまうくらい、こどもたちがぐーっと話に引き込まれて
笑ったり、茶々を入れたりと、反応がすごくいい!
こどもは「くり返し」の絵本が好きだという話はよく言われますが
この本はその要素に、食物連鎖のテーマもからませてあります。
でも、そんな理屈や説明すら越えて、こどもの心をがっちりとつかんでしまうことを
読み手として実感できた、今回の読み聞かせ体験でした。
名作として読み継がれる理由は、読者(こども)の反応を見れば一目瞭然。
そこが絵本の面白さであり奥深さであり、
文章や絵を生業とする大人が最終的に憧れ、目指す所以なのかもしれませんね。