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Mar 31,2016

侘びと今 -桜花-

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日本文化の粋を新しい角度から発見できる、素晴らしいイベントに参加してきました。
「侘びと今」の関連イベントの一つ「桜花の会」で、
和菓子と日本酒のマリアージュを体験するという魅惑的な内容。
席に通されると、テーブルの上には見事な書による美しい品書きが。
上から、お題、和菓子のメニュー、日本酒のメニュー、酒器の紹介があり、
右から一列ずつ順に、8種類の組み合わせをコースでいただきます。

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一皿目は「走り」。お菓子は筍のかたちの和三盆、お酒は純米大吟醸を焼き締めの盃で。
「まずお酒を一口、次にお菓子、それからまたお酒を口にしていただくと
マリアージュを最も効果的に味わえますよ」と教えていただいたとおりにすると......
「和菓子と日本酒がこんなに合うなんて!!!」という衝撃が舌に走りました。
どちらも淡く繊細な味同士なのに、両者が重なり合うことで、
単品でいただくのとはまったく違う味と香りのハーモニーが口の中にパーッと広がります。
まずは最初のインパクトとして十分すぎるほど!

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日本酒は、滋賀県で460年以上の歴史をもち
魯山人も愛した蔵元として知られる富田酒造の「七本鎗」。
製法と味わいに繊細なバリエーションをそろえる商品の中から
この会のために選ばれた8種のお酒が
人気陶芸家の二階堂明弘さんのうつわでいただけます。

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右が陶芸家の二階堂明弘さん、左が和菓子作家の紫をんさん。
私は取材で二階堂さんにお会いしたご縁で
彼が発起人となり立ち上げたプロジェクト「侘びと今」のことを知りました。
「優れたアートとしての日本文化」を世界に伝えようと集った若手作家さんたちが
チームを組み、5月からNY各所で茶の湯のパフォーマンスなどを行うそうです。
この「桜花の会」は、そうした活動をまずは国内で広く知ってもらって
支援や協力を募ることを目的としたイベントでした。
NYの人々に、日本文化を継承する彼らの試みがどんな反応で受け入れられるか
この会に参加させてもらったことでより楽しみになってきました。

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二皿目「花、開く」。桜の花びらの形の琥珀糖に、純米搾りたての組み合わせ。
和菓子とうつわの両方の作り手の方がいらっしゃるので、
お仕事や活動について質問したり、味の感想を伝えさせていただいたり。

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三皿目「花見」。お菓子は洲浜、お酒は純米玉栄。
お酒の特徴に合わせて、酒器の形や陶器の質感が毎回変わる演出も面白かった。

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四皿目「花あかり」のお菓子は黒糖羹。お酒は特別純米だったのですが
一回ごとの組み合わせの妙に感動するのと、ほんのり酔いも回ってくるのとで
写真を撮らずに口に運んでしまうというミスがこの辺りから多発...

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見目麗しい紫をんさんが、その場で和菓子の仕上げをされる姿は
印象的なパフォーマンスとして目が釘づけになりました。
できたての和菓子をいただくというなかなかない機会にも感激です。

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会場は浅草橋の隅田川沿いにある古い屋敷を改装した「ルーサイトギャラリー」
会の途中で日がゆっくりと暮れてきて
しだいに川の風景が夜の表情に染まっていきます。

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五皿目は「記憶」。ほんのりと霞がかかったような薄い紫色の練切りは
紫をんさんが目の前で一個ずつ皮に餡を包みながらお皿に乗せてくれました。
お酒は無有というもの。

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七皿目の「幻」。白羊羹に、貴醸酒というほんのり甘いデザートワインのような
お酒の組み合わせ(写真はお茶です、ゴメンナサイ)で、
そのリッチなマリアージュは至福のあまりクラクラしました。

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最後の八皿目は、イベントのタイトルでもある「おうか」。
大和芋のきんとんに、純米シェリー樽熟成のお酒の華やかなコンビネーション、
さらに二階堂さんの力強いうつわの個性も合わさって、締めくくりにふさわしいインパクト!
和菓子と日本酒の奥深さと、その可能性の大きさに気づかされた会は
かくしてフィナーレを迎えたのでした。

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会には、私の母と姉、義姉、そして義姉の友人の5人で参加しました。
私も初めての参加だったので、まずは和の世界を好む身近な人たちを誘ったのですが
次の機会があったら自信をもってみなさんにおすすめしたいです。
それくらいエキサイティングな体験だし、紫をんさんもおっしゃっていましたが
「このマリアージュの世界を知った日から見える景色が違う」、
まさにそんな気持ちで、この一時間半のコースを振り返りつつ
五人それぞれに感想を言い合いながら笑顔で会場を後にしてきました。

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「侘びと今」のプロジェクトとそのメンバーの志しに刺激をもらいつつ、
新しい世界の扉を開いて中をのぞいたような、忘れられない一夜となりました。
NYでのイベントの成功もお祈りしています!

侘びと今 → サイト

そして二階堂明弘さんは現在、木工作家の小山剛さんと二人展を青山で開催中です。
→ 「黒子」@ギャラリーワッツ

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Author : Nao Ogawa