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Jul 25,2019

『小さなつぶやき聞こえた』

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先日出かけたブックマーケット2019で出会った素敵な本を紹介します。
『小さなつぶやき聞こえた』(松本加代子さん著/信濃毎日新聞社)
2008年初版発行ですが、そろそろややこしい年齢を迎えつつある娘に手を焼いている、
このタイミングで出会うべくして出会った一冊だと思いました。

2歳の息子さんが、猫の丸まった尻尾を見て「ドーナツみたい」とつぶやいたことにハッとし、
それをきっかけに子どもの口からぽろりとこぼれた言葉を書き留めるようになったという著者。
その後に生まれた娘と2人分、子どもたちが18歳になるまで、
本人は無意識に発した、だからこそ母の心を温かく照らしてくれた言葉たちを
単に時系列ではなく、日常、家族、宝物、旅立ちなど5つのカテゴリーに分けて並べています。

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出版社の方から、そんな商品説明をしていただきながらパラパラとページをめくっていたら
あらら......どうしよう?
何気なく目に飛び込んでくるつぶやきに涙腺が刺激され、あれよという間に崩壊寸前。

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416ページ、辞書のように分厚いので(でも判型が小さな正方形でかわいい)、
最初から順にめくっていくだけでなく、
そのときどきでパッと開いたページを読む、というのも楽しい。

するとそこには、

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お母さん、「がんばって」ってやさしく言って。 娘10歳

お母さん、おれが今日帰ってきたら「よくがんばったね」って言ってね。 息子12歳

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他のページには

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おれ、結婚しない。ずっとママといる。  息子6歳

(登校前)ママの洋服のにおいかいでく。  娘9歳

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思春期になってくると

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お兄ちゃん、中学の時イライラしてたけど、その気持ちわかる。  娘14歳

お母さん、なんか小さくねぇ? 小さい時はお母さん大きいなぁって思ってたけど。 息子15歳

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......こんな感じで、小さなつぶやきが淡々と続いていきます。


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わたしはこのブログが娘の成長記録を兼ねていると思っていましたが
この本を読んで、そのときは言われてすごくうれしかったり、ちょっと傷ついたり、
反省したりした言葉たちで、今はもう忘れてしまった、でもとても輝いていたものが
きっとたくさんあっただろうな、と思いました。今お子さんが小さいならば
こうしてつぶやきを記録することを真似してみるのもいいかもしれません。

わたしのように、もう遅いか、って方も、きっとこの本を読むと
ほとんど同じことをうちの子も言ってくれたなぁって思い出すはず。
どちらにしても、子どもが日々発する言葉がこんなにも美しい宝物だということを
そっと教えてくれる本です。

→『小さなつぶやき聞こえた』(松本加代子さん著/信濃毎日新聞社)

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Author : Nao Ogawa