食卓の上に垂れる金色のペンダントライトをとても気に入っています。

2年前の今頃は、この家のリフォームの設計をしていました。
建築家の渡辺貞明さんの事務所に何度も足を運んで
構造などの"大きな"話から、置きたい家具などの"小さな"話まで打ち合わせを重ねていた時期です。

照明については、かなり早い段階から具体的な話に及んでいたことを覚えています。
ダイニングテーブルの照明を金色のシェードしたかったのは
江戸東京たてもの園にある前川國男邸への憧れからでした。
照明以外にも、あの場所でもらったヒントはたくさんあって
それを私たちは、髪を切るときに女優さんの切り抜きを美容師さんに見せるように
恥ずかしがらずに渡辺さんにどんどん伝えました。
予算は限られていたし、リフォームなので元の家の作りの問題もありましたが
〈前川邸〉や〈金色の照明〉といった具体的なキーワードが最初からあったことで
常に目指すゴールはブレずにいられたのかもしれません。

有名デザインの照明からヴィンテージまであれこれ見て回った末に
最終的にはノルディックフォルムで
フィンランドの照明デザイナーLisa Johansson-Papeの現行品を購入しました。
前川邸の円盤みたいな形のライトほど強いインパクトはありませんが
抑えた色味のゴールドと、小さな穴模様から優しく光がもれる感じと、
帽子みたいなどこかのんびりしたフォルムにとても愛着を感じています。