家でパンを焼いたり、娘の洋服を縫ったりすることに特別強いこだわりを持っているわけではなく、
私にとって何かを「つくること」は、「買うこと」と並列にあるひとつの選択肢なのだと思います。
美味しくて、値段も手頃で、家の近所や仕事先で買いやすいパン屋さんがあれば喜んで買います。
ちょっと高くても、こんなに素敵なデザインならどうしても娘に着せてあげたい、
と強く思った服なら、がんばって買うこともあります。

でも「自分でつくる」という選択肢があると、
パンでも服でも、ただ間に合わせのために気が進まない買い物をして
不本意にお金を使うということをしないで済むようになります。
そしてやっぱり手づくりしたものは、結果はどうあれ
全部ひっくるめていい思い出となって、家族の体に温かな記憶を刻んでくれるように思います。

単なる節約目的ではないけれど、結果的に節約できているのは嬉しいし
思い出作りのためにやっているわけではないけれど、
いい思い出が残っていくのは嬉しい。
無意識にお金を使ってきたことに「つくる」という選択肢を加えてみただけで
期待もしていなかった大きなごほうびがもらえちゃった、そんな感覚。
私が「つくること」に感じている面白さは、案外そういう部分も大きいのかもしれません。