ひな祭りだった昨日、夕食のメインメニューは、ちらし寿司と花麩のお吸い物、
そこに夫がグリル野菜を添えてくれて、豪華ではありませんが、彩りのきれいな食卓でした。
ちらし寿司は私にとって、幼少期の楽しい思い出が蘇るメニューです。
ひな祭りはもちろん、夏休みにお客さんが大勢集まるような日にもよく食卓にのぼったし、
運動会の日のお弁当の定番でもありました。
結婚して、娘の赤ちゃん時代にお祝いごとで両家が集まるような日には
母はちらし寿司を作って重箱に詰めて、私の家に持ってきてくれました。
昨日、自分で作ってみたら、料理本を見ながら作ったにもかかわらず
不思議なほど母が作るちらし寿司によく似た味に出来上がり、
その味を知っている夫と顔を見合わせて驚いていました。
いくら本の分量で測っても、たとえば酢飯の合わせ酢をちょっと味見したあと塩を足したり
椎茸や人参を煮るだしや調味料の塩梅も、自然に自分の舌を頼りに微調整するわけで
その舌に眠る "味の記憶" が、母のちらし寿司の味を再現したのだとしたら
こどもの頃に何も考えずに食べ続けた味って
なんて深い部分で人の中に残っていくものなのだろう、としみじみ思いました。
娘が生まれて何年かは、母と姉からよくメールや電話がきて
「お雛様は節分が終わったらすぐに飾って、ひな祭りの日のうちにしまいなさいよ」と
指導を受けていましたが、さすがに5歳ともなれば、私の方もそのルールは心得ています。
昨夜も夕食後すぐに姫だるまさんをしまおうと、娘と一緒にケースから出した瞬間、
だるまさんたちの笑顔が一瞬、パッと強い輝きを放ったように見えて
「今年のひな祭りも楽しかったね。また来年!」と爽やかな声が聞こえた気がしました。