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Sep 17,2015

書き直すということ

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村上春樹さんの新刊『職業としての小説家』に
原稿を書き直すことについての話がとてもじっくり書かれていて
文章を書く職業としての興味もあり、食い入るように読みました。

自分で何度も何度も読み返しては書き直し、
ようやく「これでいいだろう」と思える形になって第三者に見せたら指摘が入って
ときにはその意見に納得がいかないことがあっても
指摘されたからにはとにかく必ず書き直すことに決めている、という話に
あんな大作家でも!と驚き、その姿勢をあらためて尊敬しました。

ちょうど私も今週、本の原稿としては最後となる文章を
担当編集の方に送って読んでもらったところ、書き直すことになりました。
この本においてはそれほど大がかりな書き直し作業がなく進んできていたので
ここにきてちょっとショックでしたが
書き直した方がいいと説明していただいた理由はとても明白で、的確なもので
自分自身、迷いを感じながら書いていたのかもしれない、と思いあたるところもあり
却ってその機会を与えてもらったことを光栄に感じながら
再び真っ白な画面に向かって書き直すことにしました。

先日テレビで見た対談番組でも「自分が年をとってくるにつれて
周りがダメ出しをしてくれなくなる。それがいちばん怖い」という話が出ていて
本当にそうかもしれないなと思いました。

本当に残っていくものは、いろんな人の意見を取り入れながら
普遍的価値としての強度が増すのだと思います。
ましてや大反対が叫ばれている中で意味のない強行姿勢を貫こうとするなんて
まともな大人のやることではない。私はそう思っています。

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Author : Nao Ogawa