小泉今日子さん(キョンキョン!)の最新刊『小泉今日子 書評集』を読みました。
昨年の夏頃だったか、ごはんを食べに寄ったお店に置いてあった読売新聞を開くと、
読書欄にキョンキョンの長めの書評エッセイが載っていて、
なにげなく読んだら、感動してうっかり涙してしまったことがありました。
読売新聞をとったことがないので、キョンキョンがこんな素敵な文章で
本について書いているという事実を、そのときまで知らなかったのですが
読売新聞書評欄の読書委員を2005年〜2014年まで10年間も務め、
その間に読んで書いた97冊分の書評をまとめて単行本化したのが、この本だそう。
寝る前に布団の中で少しずつ読んでいこう、と思っていたのに、
何やらすごい力で次へ次へと引っ張られるように、一晩で読んでしまいました。
キョンキョンの感想を読んでいたら、どうしても自分で読みたくなって
買ってしまった本も何冊か。また、10年間という時間とともに
キョンキョンの文章や文体が少しずつ変化してくさまが
とても自然で、でもはっきり見てとれるほどの変化で、興味深かったです。
一人の女性の、三十代の終わりから四十代の終わりまでの十年間、
「本を読む気持ち」というプライベートな領域をそっとのぞかせてもらっている感覚。
その中の一年分は「キョンキョンが私と同じ年令のときは、こんな本を読んで、
こんなことを感じていたのか」という視点を重ねながら読みました。
回が進んでくるにつれて、自分の年令や生い立ちや思い出と向き合いながら
赤裸々というのとも違う、でもすごく率直に自分をさらけだすように書いているのが
とくに印象的で、深く心にしみ込んでくる文章にたくさん出会えました。
キョンキョンは小学生時代から大好きで(下敷きに切り抜きを入れていたほど!)、
きっと私の世代はみんなそうであるように、いつまでも特別な思いで見てしまう女性ですが
近年の、大人の貫禄を感じる落ち着いた雰囲気はますます素敵だなぁと思うし
なにより私はキョンキョンの文章がすごく好き、ということが
この本を読んでよくわかりました。
*この本、カバーの装丁はしっとりと繊細な雰囲気で、
でもカバーをとると、本がたくさん並んだポップなデザイン。
白と赤だけのキュートな世界も含めて、なんだかすごくキョンキョンぽい!と思いました。