2020年5月20日より新しいサイト www.tabletalk.store へ移転しました。こちらからご覧ください!
Nov 11,2016

芹沢銈介の家と美術館

serizawakeisuke002.jpg
HACIGOの帰りに立ち寄ったのは、静岡市にある芹沢銈介の家です。染色家として着物や帯、暖簾、伝統技法の型絵染を用いた本の装幀やカレンダー、マッチ箱のデザインなど、数多くの作品を手がけた芹沢銈介。「東京・蒲田にあった自宅を、生誕の地であるここ静岡に移築しているんですよ」と、入り口のおじさんが丁寧に教えてくれました。


serizawakeisuke003.jpg
倉を改装したという1階のリビング。メキシコやイギリス、フランスやフィンランドの家具と日本の家具との折衷がとても見事で、古民家とはひと味違う洗練された空間が広がっています。

serizawakeisuke004.jpg
柳宗悦らと親交が深かったこともあり、民藝らしさもしっかりと残っていました。師と仰ぐ柳宗悦の提案で、南側に光の調節が可能な障子の出窓を設けたのだそう。

serizawakeisuke005.jpg
庭からの眺めも美しく、味わい深い木枠の窓や障子に僕らは親近感を抱きました。「僕の家は農夫のように平凡で、農夫のように健康です」と語った芹沢のやさしい言葉が、とってもいいなと思います。

serizawakeisuke007.jpg
感動をそのままに、同じ敷地内にある芹沢銈介美術館へ。館内は撮影できませんでしたが、独自の技法で生み出した文字の書体や文様、シンプルで力強い絵やインパクトのある微妙な染めの色合いは、見ごたえ十分。限定の希少本や私家本をはじめ200点以上が展示され、その凛とした佇まいに圧倒されました。函や表紙、カバー、扉、背表紙など、細かな仕様にも素朴で繊細なかわいらしさが垣間見えました。西洋の教会のように重厚な美術館の建築も含め、本当に来てよかったです。

serizawakeisuke006.jpg
自宅に戻り、書棚を探すとさっそく装丁を手がけた本が見つかりました。函入りのハードカバーで、手にした時の肌触りや収まり具合、デザインも内容も大好きな本です。時代を超える名著と素晴らしい装丁のパワーを浴びて、来春出版される新しい作品に向けて十分にチャージができました。これから書きあがってくる奥さんのエッセイに絵をつけていくのですが、おもしろくなりそうでワクワクしています・・・。それでは勢いに乗ったパワフルな週末を!!


  • Facebook
Author : Takahiro Koike