Dec 15,2016

『お茶をどうぞ 対談 向田邦子と16人』

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秋口に買ったまま読めていなかった『お茶をどうぞ 向田邦子と16人』
エッセイの原稿もひと段落したことだし、と手を伸ばしたら最後、
あまりのおもしろさにあっという間に読んでしまいました。

まず驚くのは、向田邦子さんの対談相手の豪華さ!
黒柳徹子さん、森繁久彌さん、小林亜星さん、阿久悠さん、池田理代子さん......
和田勉さんと久世光彦さんとは脚本家とディレクターの関係で語り合い、
橋田壽賀子さんと山田太一さんと倉本聰さんとは脚本家同士で語り合う。
同業者や信頼する仕事仲間だからこその深い対話にぐいぐい引き込まれます。

本音をぽろりと吐露したり、核心をぐさりと突いているようで、
実は奥までさらけ出しても、踏み込んでもいないのだろうなとも感じる、
大人同士の知的なことばの駆け引き。
グレーゾーンをさりげなく残しながらのおしゃべりにはユーモアも品も毒もあって、
あぁ大人って楽しそうでカッコいいなぁとため息が出ます
(年令だけならわたしも立派な大人なのですが)。

魅力的な独身の向田さんに、いろんなひとがなぜ結婚しないのかと聞くのですが
その切り返しがまったくもって見事です。
遊び心と余裕たっぷりの自虐であり開き直り方、というのか
相手に気を遣わせず、それどころか
ますます魅力的な女性に見えてくるようなセリフをさらっと言う。

たとえば小林亜星さんとの対談で、向田さんが仕事でステップアップできたのは
演出家や役者などで素晴らしい男性の仕事相手に恵まれたおかげ、という話が出るのですが
「あたしは亭主運は悪いけれど男運はいいって言ってるんですよ(笑)。
亜星さんも、そのひとりですけど」
「これは負け惜しみなんだけど、男運がいいのは亭主がいないせいだと思います」
「亭主がいないと、誰とでも気がねなしに話ができるでしょう。
なんかこう、真剣勝負ができるのね。仕事をする人間としては、
これもちょっと悪くないなぁって、ヤセ我慢ですけど思いますよ」
......といった具合に。
こんな会話をポンポンできる女性なんて、本当にチャーミングで素敵で
男でも女でも大好きになってしまうはず。

また、脚本家ばかり4人での対談で、向田さんと橋田さんの女性陣は
「どんな売れっ子でも自分が苦手な役者が出る芝居の脚本は書けない」と言い切り、
男性脚本家は「なんとか好きになろうと努力する」と言っていたのもおもしろかった。
女性は、仕事であっても感情や本能に突き動かされる部分はきっと大きくて
でもそれはそれでいいんだよね、と思えて安心しました(笑)。

年末年始の気楽な読書にもおすすめの一冊です。
『お茶をどうぞ 対談 向田邦子と16人』

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Author : Nao Ogawa