2020年5月20日より新しいサイト www.tabletalk.store へ移転しました。こちらからご覧ください!
Jan 27,2017

Nirvana Live in Japan 1992

nirvana_live_in_japan001.jpg
僕が22歳の時です。大ヒットした2ndアルバム『Nevermind』の勢いに乗って、ニルヴァーナの初来日公演が中野サンプラザでありました。大学のバンド仲間はもちろん、パンク好きやハードロック、メタル好きもこぞって、「ニルヴァーナはカッコいい!」と彼らのアルバムを絶賛しました。新しい音楽が生まれる瞬間というのは、きっと「なんだかすごいぞ・・・」みたいな得体のしれない感覚なのでしょう。最近チケットの半券が見つかり、当時の記憶がより鮮明に蘇りました。

nirvana_live_in_japan002.jpg
バンド仲間の伊藤くんと2人で会場に到着すると、入り口で「本日のコンサートは1時間で終了します」と書かれた立て看板を見つけました。「一体、どういうこと? チケット代は5000円で、1時間で終わることはないだろう。しかも最初から決まっているなんて、おかしい。客が盛り上がれば、90分くらいは演奏してくれるだろう・・・」僕らは2階後方席でしたが、3人がステージに登場すると(カート・コバーンはパジャマ姿)女の子たちは「キャーッ! カート!」と、歌声がかき消されるほどの黄色い声を浴びせます。(当時はアイドル並みの熱狂ぶりでした)

本編の演奏を終え、アンコールの最後に名曲『Smells Like Teen Spirit』を演奏すると、カートはギターを振り回し床に叩きつけ、ネックをへし折り、他のメンバーも消火器をまき散らして大暴れして、ドラムセットはバラバラに。楽器が破壊され、もうこれ以上演奏は不可能。ノイズが鳴り響く異様な場内で、時間を見るときっかり1時間。ものすごいものを観たという驚きと衝撃で、しばらく身動きがとれませんでした。今となっては伝説のライブです。自分より下の世代の音楽仲間に話すと、「スゲー!」と目を丸くしてみんな驚きます。70年代後半のパンクロックを同時代で体験した人たちに、僕が憧れを抱くのとちょうど同じです。

nirvana_live_in_japan003.jpg
30代の前半に料理人として働いた下北沢のカフェで、まったりする深夜時間にさしかかると、誰かが必ずかけた『MTV Unplugged in New York』。働いている僕たちもお客さんも、このアルバムがかかると「おぉ~」みたいな気分になって、疲れが吹き飛んだことを覚えています。


カートが敬愛したヴァセリンズの「Molly's Lips」。コードがEとAの2つだけなので、誰でもすぐに演奏できるピュアな名曲です。僕もバンドでコピーしました。



ニルヴァーナの「Molly's Lips」は、疾走感がいっそう増しています。僕はこの曲を聴くとつい歩くスピードが速くなり、思わずジャンプしてみたくなります。しかも1分強という僕の好きな曲の短さ! いつも思うのですが名曲というものは、2分以内で心をグッとつかむのだと思います。

毎日のように聴いていた切れ味の鋭いヒリヒリしたロックは、もう3年に一度くらいしか聴かなくなりましたが、大人たちや社会に反発していた20代前半に、このバンドを生で聴けたことは、これからも胸を張って自慢したいと思います。それでは、疾走感たっぷりの弾けた週末を!

  • Facebook
Author : Takahiro Koike