連載中の「思い出の味」で、俳優の中尾彬さんを取材しました。バラエティー番組やワイドショーの辛口コメントで知られますが、実際にお会いすると食や芸の豊富な知識、紳士的で品のある佇まいとお話の面白さに感激しました。
酒屋の長男として生まれながら、絵の世界をめざし美大へ。在学中に日活ニューフェイスに合格するも、画家の夢を追いかけパリに留学、帰国後に俳優の道へ。デビュー作『月曜日のユカ』では、ガーリーな加賀まりこさんの相手役として登場。僕は学生時代にこの映画を観て「あのネジネジの中尾さんだ!」と、驚いた記憶があります。
食通2人のレシピが満載のこの本がとても好きで、そうお伝えすると「これ作るの大変だったんだよ~」と照れながら喜んでくれました。気軽に作れるお酒のおつまみを、中尾さんの作陶した器に盛りつけて紹介しています。(出版されたのは、今から26年前)下町にある行きつけの店は30年以上も変わらないそうで、美味しい店もたくさん教えていただきました。15年間も続けている食日記や毎晩夫婦で嗜むお酒など、食べものを巡るお話は共感することばかりでした。
ちょうど僕の親と同世代ですが、テレビで観るより何倍も粋で素敵でした。
中尾彬さんのインタビューは、現在発売中の『栄養と料理』4月号に掲載されています。