結婚祝いに友人たちから贈られ、11年間毎日使い続けてきた南部鉄瓶が、
工房での修復からすっかりきれいになって戻ってきてくれました。
実は一年ほど前に、コンロの上に置いたまま料理をしていて油が飛んでしまい、
うっかり習慣でセスキ水をスプレーしてしまったところ、その部分が白くなってしまったのです。
見た目の違和感以外は何の問題もなく、毎日おいしい白湯を沸かしてくれていましたが、
そのうちなじむのではという楽観的予測に反していっこうにその気配が見えないので
現状の写真を添付したメールを工房に送り、修理の相談をしてみました。
するとすぐにお返事がきて、「『着色直し』で修復が可能かと思います。
まずはこちらに送ってください」とのこと。
さっそく厳重に梱包して、岩手県盛岡市の工房に送ってから約10日。
漆がはげて白くなってしまっていた部分もまったく目立たなくなって
美しく蘇った姿でまた我が家に迎え入れることができました。
鉄瓶というと、内側の錆止めに苦戦するイメージがありますが、
幸いそれに関してはうまくいっていて、わたしの使い方に課題があるのはむしろ外側の方。
というのも、これまではお湯を沸かすときのコンロの火が強すぎたようで、
火が当たる鉄瓶の表面下半分が赤っぽくなってしまうことがよくありました。
そういうときのケアとして、緑茶の出がらしを布にしみこませて
鉄瓶の表面をトントンと叩く(すると緑茶のタンニンが鉄と反応して黒くなる)、という
処置をしていたのですが、鉄瓶の扱い方に関していろいろと調べてみたところ、
本来鉄瓶とは火鉢や囲炉裏にかけて湯をわかす道具なので、
現代でガスコンロを使うとしても、なるべく弱火が基本!なのだそう。
それを心がけるだけでも、表面が赤茶ける悩みが軽減されるかもしれません。
今回、きっかけはわたしのうっかりから起きた色落ちの修理でしたが、
11年間毎日使ってきたこのタイミングで、取り扱いについて見直しができたこと、
そして工房のていねいな対応とお仕事に触れられたことは、結果的にとても幸運なことでした。
きちんと使えば、鉄瓶は代々受け継ぐことができるほど頑丈な道具だと聞くし、
これからはもっと適した使い方をして、大切に付き合っていきたいなと思った次第です。