人生の中で迷ったりや落ち込んだりした時に、僕を支えてくれたのが細野晴臣さんでした。音楽はもちろん、細野さんの数々の著書は(のちに人生の分岐点だったと思う時はいつも)、手に取り必死に読み込んでいました。そんな細野さんが1973年にリリースしたソロアルバム『Hosono House』を丸ごと新録した『Hochono House』をリリースしてくれました。
レコードの内袋には、それぞれの曲への想いが細野さんの言葉で綴られています。(細野さんに多大な影響を受けた星野源さんも、同じように自身の作品で曲の解説をしてくれます)僕はこの詳細なライナーノーツを片手に、ゆっくりと音楽を聴く時間が本当に大好きです。その理由は作者と作品の両方に、じっくりと向き合えるからです。
最近スピーカーを新調しました。ターンテーブルの上でレコードが素晴らしい音像を奏でながら、元気よく回っています。ものすごく大御所なのに、若い世代の言葉にやさしく耳を傾けリスペクトし、しかも積極的にコラボする細野さんの姿勢に学ぶことはとても多いです。
今から13年前の2006年に、知人の編集者の紹介で一度ご挨拶をさせていただいたことがあります。緊張のあまり、僕は自己紹介をしただけでしたが、にこやかに握手をしてくださいました。その時の震え高ぶる熱い気持ちは、僕のすべての活動の原点となっています。