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Jun 13,2019

映画『長いお別れ』

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©️2019『長いお別れ』製作委員会

夫と娘と義母と4人で現在公開中の映画『長いお別れ』を観てきました。
結論から言うと、これは一人でも多くの方に観ていただきたい素晴らしい作品。
観終わった直後も、しばらく日数が経ってからも、いろんなシーンを振り返りながら
もう少しこの映画について考えたり話したりしたくなる。
そんな、映画だからこその味わいや深みや余韻をたっぷりと含んだ映画でした。

詳細については公式サイトでチェックしていただくとして
わたしが感動したのは、認知症の家族とどう向き合うかというシリアスなテーマと
その介護の大変さを淡々と描くストーリーに胸がぎゅっとなりながらも
でもそこにあるのは悲しみだけではない、という希望を
観る者の胸にじんわりと自然に湧き起こらせてくれるところ。

父親の認知症がゆっくりと確実に進行していく7年間は
本人はもちろん、支える家族一人一人にとっても大きな試練の日々ですが
戸惑いながらもその現実を乗り越えていく中に
ときには沈んでいる気持ちをふっと軽くしてくれる小さな出来事が起こる瞬間があり、
大変なのは自分一人じゃないと心強い気持ちになれる瞬間もある。
そんな瞬間瞬間を、この映画は本当にさりげなく、でも細やかに温かく描いていて、
そして見終わってから時間が経つほど、ふと蘇るのは
案外そうしたなにげないシーンだったりするのです。

監督は『湯を沸かすほどの熱い愛』で注目された中野量太監督。あの映画にも感動しましたが、
今回の『長いお別れ』は、70代の親の認知症という身近なテーマを扱っているだけに
わたしたち家族もさらに強く引き込まれました。
また、認知症を患う山崎努さんの演技をはじめ、
蒼井優さんと竹内結子さんの、対照的なようでどちらも人生に手こずりながら悩んでいる
(その空気感の醸し出し方が2人ともすごくリアルです)、心優しい姉妹の描き方、
そして松原智恵子さんの作品全体をやわらかく包み込むような、
それでいてしなやかなたくましさもある母の存在感など
もう役者さんたち一人一人が本当に素晴らしくて!
どんなに探そうとしても欠点が見つからないくらいなのです。

ちなみにエンディング曲が、家族で大ファンの優河さんなのもうれしい偶然。
「この映画ちょっと気になってた」という方には「絶対観に行って!」と
声を大にして言いたい。とにかく、おすすめです!

→ 映画「長いお別れ」公式サイト

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Author : Nao Ogawa