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Jul 30,2014

刺激的な読書

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週末の旅の身軽化を助けたもう1つのポイントは、「持って行く本を厳選したこと」でした。
じっくり本の世界に入っていける移動中の読書は旅の大きな楽しみ。
そのため海外旅行だと「読み終わっちゃったらどうしよう」と不安で
本を減らす勇気が出ませんが、国内なら旅先で買うこともできます
(実際、取材で伺った〈メリーゴーランド京都〉では気になっていた新刊を購入しました)。

自分の読むスピードと、本の内容を照らし合わせながら、鞄に詰めた2冊はこちら。
『魔女の宅急便』の原作者、角野栄子さんの自伝『ファンタジーが生まれるとき』
ミュージシャンの大貫妙子さんのデビュー40周年アニバーサリーブック『大貫妙子』
往路、ちょうど広島に着くと同時に角野さんの本を読了し、
帰路では大貫さんの本を数ページ残すところで帰宅、と理想的な結果でした。
そしてどちらの本も、いま私がこのタイミングで手にして読んだ、
そのシンクロニシティに大切な意味を感じてしまう内容でした。

角野さんは、娘さんが幼い頃に主婦をしながら児童文学を書き始めたそうです。
首から画板を下げてそこに原稿用紙をはさみ、こどもが昼寝した瞬間に隣に座っていきなり執筆を始める、
そんな日々が明るくチャーミングな筆致で書かれていて、読んでいてとにかく楽しい!
1935年生まれで今も現役でお仕事されているのですから、まさしく私が目標とする人生です。

大貫妙子さんは、以前『私の暮らしかた』を読んで、その文章にとても感銘を受けました。
→ BLOG『面白かった本と読書コーナー』
今回の本はエッセイではなくインタビューや対談が主なのですが、
大貫さんの語る言葉、選ぶ表現がひとつひとつ心の奥の大事なところにまっすぐ届いてくるような、
そのせいで読んでいる間ずっとアドレナリンが出つづけているような、とても刺激的な読書時間でした。
シンガーとしての発声法や音楽性における試行錯誤、作曲や作詞の苦労など、
なんて冷静に自分と向き合い、たたかいながら仕事をしているんだろう!とはげしく感動。
「40年やり続けてようやく見えてきたこと、40年やらなくては見えてこなかったことが
たくさんある」という言葉が、本を閉じた後もずっと胸に残っていました。

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こうして、よかった本や映画や音楽などにはつい興奮気味に語ってしまうので、
この短い文字数のレビューには苦労したのですが、
現在発売中の雑誌『&Premium』no.9の巻末「&EYES」で
森岡書店の森岡督行さんの著書『荒野の古本屋』と、
フォトグラファーの安彦幸枝さんの著書『デジタル一眼 ゼロからの教科書』
ご紹介させていただています。
こちらの2冊も、気持ちのいい刺激と発見をくれる本でした。おすすめです!

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