昨年『おしゃれと人生。』で取材をさせていただいたとき、
角野栄子さんは『トンネルの森 1945』をちょうど書き終えたと話されていました。
戦後70年というタイミングで、戦争をテーマに児童文学作品を書くことは
作家としてかなりのエネルギーを費やす仕事であっただろうと想像しながら
最終的にどんな作品として世に発表されるのか、ドキドキしながら発売を待っていました。
しばらくして書店に並んでいるのを見つけて、すぐに買い求めました。
自身の戦争体験を、静かでトーンのファンタジーへと昇華させたこの作品を読み終えたときは
淡々と見えてとてもドラマティックな映画を見たときのような感動が全身を包み、
しばらくその余韻にじんわりと浸っていました。
そんな感想を、『おしゃれと人生。』の完成時に送ったお礼の手紙にも書き添えたのですが......
「尊敬と目標」というブログを書いたその日に
たまたま角野栄子さんと久しぶりにお話しさせていただく機会があって、
あらためて『トンネルの森 1945』の感想をお伝えすると
「実は先月また新しい本が出たんですよ」と
『魔女の宅急便 特別編 キキに出会った人びと』の発売を知らせてくださいました。
『魔女の宅急便』のスピンオフ作品とのこと!
その日、私がさっそく書店に買いに走ったのは言うまでもありません。
『おしゃれと人生。』に出てくださった10人の中で最年長の角野栄子さん。
80代にしてハイペースで新刊を出し続けるこのパワー! もう素敵すぎて惚れ惚れします。
『おしゃれと人生。』の出来栄えもとてもほめてくださり、
私は感激して、ほとんど体が宙に浮いてしまうくらい嬉しくて
「角野先生のようにずっとずっと本を書き続けるのが私の目標です」と
思わず伝えてしまいました。
そんな恐れ知らずな自分の発言も含めて、この出来事もまた、胸の中の宝箱へ。