新たに揃えた防災用品を実際に使ってみようと、庭にテントを張りました。
早めの夕食を終え、寝袋やランタンをテントに運び入れます。

夫婦共々、キャンプは学生以来という根っからのインドア派で、娘はもちろん初めての体験。僕自身は、2004年のフジロックのキャンプサイトで、身の危険を感じるほどの寒さに震えながら一夜を過ごしたという苦い経験があります。

テント内では温かいお茶を飲んだり、カセットテープを聴いたり、ボードゲームをして存分に楽しみました。このあとどうなるかも知らずに･･･。

早々と21時消灯。それでは、おやすみなさい。

夜になると雨が降り始め、勢いよくテントに当たる雨音で目が覚めました。もう朝かなと思うと、まだ夜中の0時。しかもテント内に蚊がいて、あちこち刺されてしまいました。蚊の羽音でなかなか寝付けないので2時に起きて、塗り薬を取りに行き、スマホの明かりを頼りにしながら、蚊の退治に成功。よし眠れるぞ！と寝袋にもぐると、うなるような風と激しい雨がテントに吹きつけます。夜は長い。パタパタと風にあおられるテントを心配しながら、身体を横たえ、風と雨がやむのをじっと待っていると、頭は現実と夢の間をゆったりと泳ぎ始めます。

ウトウトと4時を過ぎる頃、音の感じ方がいつも以上に鋭くなり、遠くの音がすぐ近くで聴こえるような動物的感覚に。5時には気温がグッと下がり、寝袋を通して寒さが伝わってきます。風雨と蚊と寒さに耐えながら過ごした長い長い夜の緊迫感は、小鳥のチュンチュンというかわいらしい歌声と共に、一瞬でほぐれました。おぉ、朝が来た！

ようやく小雨になり、辺りが明るくなり始めると、奥さんが起きてきました。やはり熟睡できなかったようで、代わりによく寝ていた娘は、顔を8カ所も蚊に刺されていました･･･。
ほんの一夜を庭で過ごしただけですが、自然の一部になったような野生を味わい、自分たちなりに貴重な体験ができました。何よりも温かい風呂に入って、フカフカの布団で安眠できることは、この上ない幸せだということを、今さらながら痛感しています。災害の備えに終わりはありませんが、経験と訓練を重ねながら、少しずつ自信と体力をつけていこうと約束をしました。