Jun 02,2016

『絵本といっしょにまっすぐまっすぐ』

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完成を待ちわびていた本が、とうとう発売になります。
メリーゴーランド京都の店長・鈴木潤さんのはじめての著書、
『絵本といっしょにまっすぐまっすぐ』(アノニマ・スタジオ)。

同じ年(誕生日もたった数日違い!)の感性の通じ合う女性として
『sketch 1』で対談させてもらった潤さん(→ BLOG )。
『sketch』の他にも『Table Talk』『家がおしえてくれること』『おしゃれと人生。』
これまでの私たちのすべての本を〈メリーゴーランド京都〉で販売し、応援してくれました。
『sketch』の展示とイベントで京都に滞在していたときには
「潤さんもいつか本を出すなら......」と二人でお茶を飲みながら
あれこれと妄想をふくらませたこともありましたが
完成したこの本は、私の期待と想像を超えて、潤さんにしか書けない強いオリジナリティと、
それでいて読み手がいつのまにか自分を重ねあわせてしまう普遍性を持った、素敵な本でした。

潤さんが〈メリーゴーランド〉のHPに掲載していたブログを基にしたこの本は
店と家を行き来する潤さんの日々の暮らしが綴られる短い日記と、
その内容と自然につながり合う絵本150冊の紹介というユニークな構成。
創設者から受け継いだ「好きな本しか置かないわがままな本屋」の
姿勢をしっかり貫く潤さんが選ぶ150冊ですから
絵本ガイドとしての信頼性の高さは言うまでもありませんが
同時に、珠玉の子育てエッセイでもあります。
ブログを綴った5年間には、結婚して、赤ちゃんを授かり、出産して
その赤ちゃんが日に日に成長していく日々が穏やかに流れていきます。
とくに、というか、やはりというべきなのか
日記も絵本ガイドも、そのつながり方も、
こどもが生まれて以降の内容や文章ががぐんとリアルで面白くなり
幸せで、ときにせつなく、愛おしい時間にあふれています。
たとえば......

ある朝、突然おちびさんが
「なんか、さみしいきもち」と言いました。
ちょっとどきっとして、「さみしいきもちってどんなん?」
と聞いてみると、途端にふざけた顔をして
「えっとな えっとな ごーやってこと!」と言って
どこかに走って行ってしまいました。
一瞬、詩的な答えを期待した自分がおかしかったです。
その調子だ、3歳男子。
でもなぜ「ゴーヤ」なんやろか。
頭の中を見てみたいです。

『きもち』 谷川俊太郎 文 長新太 絵 福音館書店

......といった具合。
『きもち』の紹介文もとても実感がこもっていて、じんわりさせられます。

こどもという存在の輝きと、大人がこどもの面白さに気づく視点を
絵本から自然に吸収した潤さんの、大好きな本と仕事とこどもに向き合う日々には
子育てがもっと楽しくなるヒントがたくさん詰まっていて
「絵本は素晴らしい」とか「こんな絵本がおすすめ」といった理屈を超えて
素直に「絵本を読みたい」という気持ちを読み手に喚起させてくれます。
それに、自分が大好きな絵本が紹介されているとこんなにうれしい、
しかもちょっと誇らしい気持ちになるのは、
それらの本を推薦している女性が魅力的だからにほかなりません。

また、私はこのブログを公開当時からよくチェックしていましたが、
本になってページをめくりながら読み返すと
同じ言葉でも、自分の心の中へのしみ込み方がまったく違うと感じました。
私自身ブログを通じて、日々感じることを言葉にのせて発信しているわけですが
この本を読んで、どれだけネットが普及したとしても
本を出版する意味、自分がなぜ本をつくり続けていきたいのか、
その大切な部分を再確認できた気がします。

いい絵本に出会いたい人、こどもの頃に好きだった絵本を再読したい人、
子育てをもっと面白がりたいお母さんにも、ぜひ読んでいただきたいです。
そして、二人の男の子の子育てと、店やイベントの運営と並行しながら
日常の小さな光をひとつひとつ大切にすくい上げては記すような
素敵な本をつくり上げた潤さん、完成、本当におめでとうございます!

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Author : Nao Ogawa