『家がおしえてくれること』を出版したのは、3年前のちょうど今ごろでした。
その後、『sketch 1』『sketch 2』、『おしゃれと人生。』と作品をつくってきて、
いまは、来年3月発売予定の新作エッセイ集の制作に取りかかっています。
いつも「これから何ができるのか」と考えているせいか
わたしも夫も、過去の作品をじっくり読み返すようなことは、あまりしません。
これまでの自分たちではできなかった、新しいことに挑戦したいし、
読者の立場で、知らない本みたいに読むにはまだ時間の経過が足りないと思うからです。
でも、最近たてつづけに『家がおしえてくれること』をきっかけにした
うれしいことがありました。
はじめてメールを送ってきてくださった読者のかた何人かのお便りにはどれも
『家がおしえてくれること』への熱心な感想が書いてあって
「出版から3年経っても、まだこうしたお便りをいただけるなんてありがたいね」と
夫と話していました。
すると今度は、ひさしぶりに群馬県前橋市にある〈フリッツ・アートセンター〉の
土屋さん(→ BLOG )から連絡をいただいて
「『家がおしえてくれること』を読んだらとてもよかった、というお客さまが
Table Talkのサイトの『sketch販売店リスト』を見て、
うちのお店に『sketch』を買いにきてくれました」といううれしい報告をくれました。
土屋さんとそのお客さまの会話もとてもはずんだということで、
そのことが書かれたメールを読みながら、私の胸もじんわりと温かくなりました。
夫にも伝えると「こういうことが続くと、すこしだけど自信がわいてくるね」と言いました。
そう、その通りで、わたしたちはこれまでの作品にはどれも
そのときのベストを尽くしたという自負はあるものの、そのことと
読んで下さった方に「いい本だった」と思っていただけるかどうかは、また別の話です。
だからどの作品にも愛着はあるけれど、自信があるわけではない。
でもこうしたことがあると、ほんのちょっぴりは「大丈夫なのかも」と思えます。
もう一つ、今回の一連の件を通じておしえられたのは
つくっている側は勝手に、その作品の評価をすぐに求めたくなるけれど
人と本が出会うのも何かの縁であり、
手にしてくださったときがベストなタイミングで
その時期に早いも遅いもないということ。
だからこれからも、時間が経っても色褪せない本を、
そしていつ誰が手にとってくれたとしても
「こういう本が "いま" 読みたかった」と思ってもらえるような本を、
ていねいにつくっていこう、と思いました。
時間に迫られながらも新作に取り組んでいる今、
この気づきは、とても大切なことだったと思っています。