Apr 19,2017

鍋の中の折り紙

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次回作の執筆に、この季節ならではの、娘の学校や習い事関係の用事も重なり、
時間にも気持ちにも余裕がない状態で毎日が過ぎていきます。
こんなときは、ごはんをつくるのも食べるのもそっちのけで
とことん仕事部屋にカン詰めになれたらどんなにかはかどるだろう、
などと想像して現実から逃げだしたくなりますが、
かといって、家事をほったらかす度胸も、
〆切なんて気にしない心臓も持ち合わせてないのだし
結局は、目の前のやるべきことをひとつひとつ、片付けていくしかないのです。

いつもは夕食の洗い物をしたら、夜の間に鍋やうつわが完全に乾くように
拭いてから寝るのに、雨のなか娘の送り迎えでヘトヘトになってしまった月曜日、
うつわを水切りかごに置いたまま寝てしまいました。
翌朝起きて、寝ぼけ眼でお湯を沸かしながらうつわを片付けようとしたら
お気に入りの鉢の高台の中に水が少したまっていることに気づき、
それを流しの上で振り払おうとした瞬間、水道の蛇口とうつわの縁がカチーン!
小さくですが、大好きなうつわが欠けてしまいました。
あーあ、このうつわも金継ぎへ...でもいまは金継ぎをする時間もやはりないため、
これから数ヶ月は使えないと思うと、朝から深いため息をついてしまうのでした。

こんなわたしの状態を見てのことなのか、それとも気まぐれなのか
娘はときどき不意に、折り紙のプレゼントをくれます。
ある日は、やはり夜の間に乾かしていた鍋のなかに
金色の紙で折ったあやめが入っているのを見つけました。
思いどおりに時間が使えなくなる面もあるかわりに、
思いがけない幸福を味わわせてくれるのもまた、小さなこどもとの暮らしです。

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Author : Nao Ogawa