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Nov 30,2017

『トットひとり』

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仕事の資料として読むのではない読書の余裕が少しできたので
発売してわりとすぐに夫が買ってきたものの
まだわたしは読めていなかった『トットひとり』を読みました。
(お互いの好きな芸能人がタモさんと黒柳徹子さんであったことが
わたしと夫が仲良くなったきっかけのひとつでもあったため
お二人はいまも我が家のトップアイドルです)

向田邦子さん(→ BLOG )や渥美清さん(→ BLOG )、森繁久彌さん、
徹子さんが芸能界のお母さんとして慕っていた沢村貞子さんなど
最後まで美学を貫きながら逝った愛しい友人たちの生きざまを見つめ、
またテレビ創成期とベストテン時代を駆け抜けた自身の激動の日々も振り返っています。

鋭い観察力(子どものような好奇心から生まれているものだと思う)と
驚異的な記憶力によって、エピソードのひとつひとつが、何十年も前の話なのに、
まるで昨日起こったことを語るかのように、細やかでリアル。
映像のような臨場感で、ぐいぐい読ませます。

誰のことについて書いた話も、徹子さんの深い愛情と、
その友人を失ったさみしさが行間からあふれていて印象深いものばかりですが、
現在40代のわたしが心から共感したのが、徹子さんが一年間仕事を休んで
NYへ留学した経験を書いた「三十八歳だった」という章。

ずっと忙しく働いてきたけれど、ここで一度立ち止まって深呼吸して
新しい刺激を受けてエネルギーをたくわえたい、という欲求。
「芸能人ではなく、普通に生きる人間としての、女としての、
感情や感覚を忘れたらいけない、きちんと笑ったり、泣いたり、怒ったりしながら
自分だけの人生を作っていかないといけない」という思い。
それらに背中を押されるように、単身NYへ渡り、
現地で本格的な演技レッスンを受ける生活に踏み出します。

働き方や生き方について切実に考える時期がやはり40歳前後であるということ、
またわたしも同じような動機から、今年一年間、全然違う職種の仕事を
週一回のアルバイトというかたちではありますが経験したので
(この体験についてはいずれちゃんと書きたいと思っています)、
この章の徹子さんの心情と行動には、いちいちうなずきながら読みました。

またすぐに次の仕事の資料を読む生活が始まりますが
年末年始くらいは純粋な趣味としての読書を堪能するつもりで
次はやはり夫の本棚にある『チャックより愛をこめて』と
『トットちゃんのカルチャーショック』へとつづいていく予定です。

夜のしあわせな読書タイムを楽しみに、今日も一日がんばろう。

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Author : Nao Ogawa