「クレイマー、クレイマー」(1979)の話題を引っ張りますが、今日はインテリアの話。
この映画、衣装もインテリアもリアリティがあって何げないのですが
実は画面の構図や色彩のバランスが緻密で洗練されていて
その辺りが時代を経ても古さを感じないポイントかもしれません。
クレイマー家が暮らすNYのマンションのリビングもおしゃれです。
窓辺のソファの両サイドに観葉植物を置いたシンメトリーなレイアウトなどに
出て行った奥さんの繊細で几帳面な性格が濃厚に表れていて
なおさら奥さん不在の切なさが漂っています。
大きなスタンドをメインにした間接照明も憧れるなぁ。
外国映画でもマンションなので空間がどこも小ぶりなのがまた参考になります。
ダイニングもコンパクトで、家具はラウンドテーブルと曲げ木のチェア。
後ろにちょっとカントリー風の雑貨が飾られているのも奥さんの趣味でしょう。
個人的には、ほのぼのとしたインテリアをきゅっと引き締めている
グリーンのペンダントランプの存在感が好きです。
2人か3人家族なら、このサイズのテーブルでも十分ですね。
このテーブルが四角じゃなくて丸いってところがまたいいと思うのです。
互いに寄り添い合って暮らす感じが出ていて。
家ではありませんが、このカフェのシーンも見た瞬間、
画面の色彩バランスが好みで思わず身を乗り出しました。
落ち着いたブラウンの空間に、オリーブグリーンのチェックのクロスが映えて
その中に白とベージュでまとめたメリル・ストリープ。うーん、きれい!
このロケ場所はマンハッタンに実在する「JG Melon」というハンバーガー屋さんだそうで
撮影が行われた席の隣りの壁に、映画のシーンの写真が飾ってあるそうです。
衣装やインテリアばかり目に入ってくる映画もありますが(それはそれで楽しい)、
この映画は、人物や状況の設定にインテリアがいいはたらきをしていて
その計算されたさりげなさに思わずうならされる感じ。
この時代のそういう映画を、他にも探してみたくなりました。