『心地よさのありか』の楽しみかた、その2をお教えします。先週はカバーと帯の話をしました。(→BLOG)今週はカバーを外してみましょう。
ガラリと雰囲気が変わり、茶色の表紙が現れます。カバーでは黒い線で表現しているイラストやタイトルも、紙の色に馴染むよう茶色に変更されています。
それでは表紙を開いてみましょう。これは「がんだれ」という装丁で、折り込むことで表紙を大きく見せることができる装丁の手法です。
イラストは両面に印刷されていて、カバーでは見られない「郊外暮らしは忙しい」「きれいなキッチンの可能性」「外食と内食」「ヨガライフはじまる1・2」の挿絵を見ることができます。
それでは裏表紙を見てみましょう。カバーではバーコードや価格が記載されていた部分に、エッセイ「プロの叱りかた」に添えられた泳ぐ2羽の鳥のイラストが加わっています。
こちらも表紙を開くとイラストが5点。エッセイ「ウィッシュリスト」に登場する6脚のワイングラスが存在感を放ちます。僕はこの「がんだれ」という装丁が特に気に入っています。デザイナーさんをはじめ、製本や出版社の方々が、イラストがさらに楽しめるよう限られた予算の中で仕上げてくれました。しかも茶色の紙をよーく見ると赤や青や黄、白や黒の小さな紙の粒々が紙に混ぜ込まれていて、それが模様に見えてとてもきれいなのです。
さらに驚くのが本の上部(天の部分)です。多くの本は天・地・小口をきれいに切り揃える「三方裁ち」で製本されていますが、『心地よさのありか』は「天アンカット」という手法で製本されています。触れてみるとわかるのですが、カットしていない不揃いのまま綴じられているので少し凸凹があります。僕はこの製本が好きなのです。なぜなら本は紙を折って束ねて綴じるものだということが、ひと目でわかるからです。この手法は、紙の折り曲げや揃え方に工夫が必要なため、製本の工程も増えるのだそう。しかもこの本にはピンクのスピン(栞)もついています。(→BLOG)
同じ仕様でよく知られるのが新潮文庫です。手軽な価格が強みの文庫本でなぜ「天アンカット・スピン付き」仕様なのか、その理由はこうです。「スピンをつける理由は読書において非常に便利であるのはもちろん、安価で軽装な文庫本といえども書籍であり、これを蔵書として扱う読者にこたえたい、という考えがあるからです」
『心地よさのありか』も同じ気持ちで作っています。
6年ぶりに新作をリリースしたFeistの最新ライブ。今いちばん観てみたいアーティストです。
(相変わらずギターが熱く歪んでいて、カッコイイ!!)
それでは、今週も楽しい発見と気づきがありますように。