Oct 01,2019

『なつぞら』を見て、さらなるアニメファンに

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家族で楽しみにしていた『なつぞら』がついに最終回を迎えました。史実に基づいたアニメーターの物語ということもあり、自分の中でアニメーションへの想いが再燃中です。→ 『なつぞら』

今の娘と同じくらいの時期に愛読書が『コロコロコミック』から『アニメージュ』になり、本格的に夢中になりました。中学生になるとアニメーターや監督、声優の名前を覚え、キャラクターデザインを手がけた人が作画監督を担当すると、動きや表情が生き生きしていることを画面で知りました。14歳くらいの時に読んでいたのが、アニメージュ文庫として発売されたこの3冊です。

右上:高畑勲さんが監督を務めた『太陽の王子ホルス』の解説本。中央:『ルパン三世』や『未来少年コナン』の作画を務めた大塚康生さんの自伝。左下:森やすじさんが作画監督を務めた『長靴をはいた猫』(宮崎駿さんはすべての作品に関わっています)


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ドラマで一久さんが演じたのが高畑勲さんでした。細部へのこだわりと妥協を許さない演出は、想像をはるかに超えるほど緻密なことが、本や図録を読んでよくわかりました。高畑作品で僕が好きなのは『母をたずねて三千里』と『じゃりんこチエ』です。娘は『平成狸合戦ぽんぽこ』で、奥さんは『赤毛のアン』だそうです。


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主人公のなつは、ハイジのキャラクターデザインをした小田部羊一さんの妻でアニメーターの奥山玲子さんがモデルでした。ドラマの時代考証をしていた小田部さんの描く線が僕は大好きで、(→ BLOG「マルコの世界」)先輩アニメーターでもある森やすじさんは、東洋動画で井浦新さんが演じた仲務のモデルとされています。(→ BLOG「世界名作劇場展」)

森やすじさんは「ホルス」に登場するヒルダのキャラクターデザインをしていて、ドラマでは「神をつかんだ少年クリフ」として、このエピソードが効果的に使われていました。ヒルダの声優は『日本昔ばなし』の市原悦子さんですね。

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ドラマと並行して読んでいたのが、こちらの3冊。スイスへロケハンに出かけた『ハイジ』は、十勝を舞台にして「大草原の少女ソラ」になりました。『アニメーションの色職人』はジブリ映画の色彩設定を担当し、映画の製作が始まるたびに新色を絵具メーカーと開発してきた保田道世さんの本。ドラマではモモッチこと伊原六花さんが演じていましたね。(→ BLOG)『エンピツ戦記』は長年ジブリで動画チェックをしてきた舘野仁美さんの本で、『なつぞら』ではオープニングアニメーションに刈谷仁美さんを抜擢し、劇中アニメーションのすべてを舘野さんが監修しています。

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さらに最近出版されたこちらの2冊も。(かなりおもしろそう!)

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夏休みに家族で訪れた『高畑勲展』。勢いのある鉛筆線で描かれた美しい原画の数々、試行錯誤しながら質の高い作品を生み出すアニメーターたちの葛藤が、展示資料からダイレクトに伝わり心震えました。(東京は今週いっぱいの開催で、来春に高畑さんの故郷、岡山で開催されます)


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最終回には『火垂るの墓』を思い起こさせる場面がありました。ドラマでは戦災孤児のきょうだいが、さまざまな苦難を乗り越えましたが、映画とドラマのキャラクターが頭の中で一瞬にして重なり、思わず涙があふれました。(素晴らしい演出だと思います)

広瀬すずさんの見事な演技とじいちゃん(草刈正雄さん)をはじめ豪華な俳優陣、なつが制作するアニメ映画の細部に至る設定まで、徹底的にこだわり抜いて作られたのは、寝る間も惜しんで必死に絵を描き続けた当時のアニメーターたちへ、敬意を払っていたのかもしれませんね。

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手描きで絵を動かすことがどれほど大変か、キャラクターに命を吹き込むことがどれほど難しいか。新たな時代を切り開いたアニメーターたちの作品は、CGや3Dとはまた違う味わいや温かさがあります。(僕は子どもの頃に夏休みに放送された『ホルスの大冒険』や『長靴をはいた猫』といった東映動画の作品をテレビで観ていました)

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これまであまり語られることのなかった東映動画の歴史がドラマを通してよくわかり、10代の頃のようにアニメーションがまた好きになってしまいました。『なつぞら』よ、本当にありがとう!


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Author : Takahiro Koike